『薔薇族』を買いたいから買うのだ!

「私は高校3年生の者です。
このテの雑誌が最近買うようになりました。
私がゲイであることを自覚したのは中1の時ぐらいからでしょうか。
女の子を好きになったこともあり、付き合ったこともありましたが、体のつながりはできませんでした。
むしろ男性に欲情していらぐらいです。
私はゲイであることに対して、コンプレックスは多少あるかもしれない。
けれどいちいちコンプレックスにこだわっていたって、何も進歩しないもんね。
だからゲイである自分を楽しむことにしたんだ。
この雑誌は町中の割と大きい本屋で買った。
他に客はいたけれども
「私はこの雑誌を買いたいから買うのだ。」
と、自分に言い聞かせていたから、他人の目なんて気にならなかった。
私は私なのだからね。
親も少しずつ気づいているかもしれない。
なにせ私は『薔薇族』を特別隠しているわけでもなく、普通に置いているし、バレたらバレたで、ゲイであることを親に謝罪しないもん。
いいではないか、ゲイであっても、ゲイであっても、ノンケが女を好きなように、私も普通に男が好きなのだ。
だからほかの高校生、中学生のみんなも、もう少し客観的に自分を見直して、ゲイであっても、その中で自分を楽しませればよいのではないだろうか。
(埼玉県・GET・UP)」



「少年の部屋」のコーナーがなくなる最後に『薔薇族』の優等生が、しめくくってくれて、ぼくはうれしいよ・
「ラブオイル校長奮戦記」のブログを書かなければ、299号で「少年の部屋」のコーナーがなくなることも気付かなかっただろう。
みんなどんな大人になっているかな。
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A先輩も、君も年上の男が好き!

「俺は大阪市内に住んでいる高校2年生です。
いま俺、めちゃくちゃ友だちがほしくて。
俺、高校でサッカーやってるんやけど、入部したときから気になってたA先輩が、この夏で引退することになった。
じつはこのA先輩とは、去年の夏、合宿のとき、ちょっとHなことをしたことがあって、お互いたまってたんやなーと、思ってたんやな~と、思ってたんやけど、なんかそれから先輩の行動が、ホモっぽく見えることが多くなった。
だけど結局、告白できなかった。
ところが6月のある日曜日に、アメ村に友だちと買い物に行ったとき、A先輩が20代半ばぐらいの男と歩いているのを発見してしまった。
俺は気になって、とうとう期末テストが終わって部屋が再開した日に、告白してしまった。
そうしたらあっさりと、
「今つきあっている男がいるからなー」
って言われて、その男が俺が6月にアメ村で見た、あの茶髪のやつってこともわかった。
次の日に部活が終って帰る途中、A先輩がその男の車に乗りこむところを見つけ、思わず
「俺にもいろいろ教えてください!」
って頼んでしまった。
先輩の部屋で、いろいろ話したけど、俺が入りこむ余地がまったくないことがわかった。
その晩、家に帰る途中、ホントにA先輩のことが好きだということ、A先輩のことをホントにうらやましく思っていることに気がついた。
そしてA先輩以上の人にめぐり会おうと思った。
その後、A先輩も俺に協力してくれると言ってくれた。」



A先輩は、君と同じように年上の男が好きな人だったのでは。
あせらずに理想の男をみつけるしかないか。

逃げずに自分のことを考える!

「ぼくは兵庫県の尼崎にある、高校に通っている1年生です。
もくはすごく悩んでいます。小学校の6年生のとき、オナニーを覚えて今も毎日、2・3回は続けています。
健康な男子なら普通と思うでしょうが、男の人の裸や、水泳部員なんかを想像しながら、オナニーをしています。
ゲイ雑誌を読むようになって1年ぐらいですが、友達には相談できません。
ゲイであることを隠しながら、これからも生きていかなくちゃいけないんでしょうか?
将来のことを考えると、やはり悩んでしまいます。
それから、オチンチンの皮がボッキしても、先が少し見える程度で、むけていないのです。
手でひっぱればムケてきます。
手で触ったりすると痛くて、そのままパンツの中に入れることができなくて、ムカないままでしまっています。
不潔になると本で読んだことがありますが、どうなんでしょうか?
この前もオナニーの回数やムケているとか、いないとかの話を友達に話すと、
「なんで男の体に興味があるねん、お前、ホモちゃうか」
と言われ、ドキッとしました。
ホモの人は、こういう話とかを積極的にするんでしょうか?
この世界に友だちがいないので、相談できる人がほしいのです。
誰か友だちになってください。」



編集部の誰が答えているか、分からないが、竜さんでも、ぼくでもないようだ。

「コツコツをちゃんと生活していれば、そして逃げずに自分のことを考え続ければ、自分なりのホモ人生を楽しみながら送ることができるはずだ。
仮性包茎は風呂でちゃんと清潔に洗っておけば問題ないと思う。」

まじめな答えだ。

若者の悩みは、いつの世にも!

'97・『薔薇族』12月号・No299・厚さが25ミリもあって、3分の1は、なんと広告頁だから驚ろきだ。
「少年の部屋」の頁もたった2頁。
最後に「少年の部屋」の頁がなくなるとある。
批判が大きくなってきて、続けられなくなったのだろう。
「少年の部屋」の最後の(神奈川県・CONAN)君の投稿を紹介しよう。
「『薔薇族』を知ったのは2年ぐらい前です。
初めて見たとき、H本の数倍の興奮を覚えました。
そしてすぐ買いました。
それと同時に悩みも出てきました。
「ホモ」になってしまったんだと、考え込んでしまうようになっていったのです。
そのうちビデオなども見たくなりました。
そこで近くの古本屋で海外モノのホモビデオを買いました。
今まで写真でしか見たことのない性行為が、別の形で目に入ってきました。
ドンドン、ホモになっているのではないかと悩んでしまったのも事実です。
本当にぼくはホモなんでしょうか?
ものすごく悩んでいます。
教えてください。
今まで男の人を好きになったことは、1度もありません!
それと、ぼくは最近、外見は男で内面が女性であることに気づきました。
これもホモ、ゲイに分類されてしまうんですか?
なにか心配です。」



17歳の少年からの投稿だ。もっとくわしく話を聞かないと判断できないが、今まで男を好きになったことは、1度もないそうだから、「性同一性障害」ではないかと思うが、もう少し時間をかけないと判断できかねる。
ネット時代の今の若者は、ネットがなんでも教えてくれるのだろうか。
「少年の部屋」なんて投稿頁を作れた時代はよかった。

『薔薇族』は希望の星!

「ロードショー好きの俺と彼(ノンケ)は、月に2度ぐらい東京有楽町に出かけました。
食事をしてしゃれた喫茶店でカプチノを飲み、映画のこと、彼女のこと(俺は男も女も好き)で話はつきませんでした。
でも、彼は漫画好き。
帰りの電車で読むからといって、上野で降りました。
「俺、あまり漫画好きじゃないから、外で待っているよ」
と言ったものの、彼がなかなか出てこないのだ。
漫画というよりセックス小説がずらりと並んでいて、何よりも目にはいったのが
「『薔薇族』本日発売」
という文字でした。
『薔薇族』
どこかで聞いたことがあるなと思いながら、細い通路を探っていきました。
彼はセックス小説に夢中でした。
他の人も堂々と立ち読みをしていました。
ようやく探しあてた本の内容は、わかりませんでした。
周りがセロハンで包装されていて、中がのぞけないのです。
しかし、表紙ですぐにわかりました。
俺は思わず心の中で喜びました。
ついに見つけたのです。
今、俺は28歳。
ひとり悩んできました。
そのセロハンを破って、今すぐその中身を見たかったのです。
友だちがすぐそばにいます。
来週、ひとりでこようと思いました。
その一週間は、一年も二年もかかったような気がしました。
その日を待ち望んで、店へ入ったとたん、足と手が思うように動きませんでした。
しかたがなく新宿で映画を見て、再び上野のB書店に行きました。
急いで金を払い、逃げるようにして常磐線に乗りました。
だいぶ夜も更けてきました。
幸せでした。
一文字も残さず読みました。
わからない意味もありました。
地方に住み、ひとりで悩んでいた俺に『薔薇族』は、希望を与えてくれました。
(茨城県・奥手な薔薇族)」



今は閉店してしまったけれど、上野の駅前の文省堂書店で、初めて買ったのだろう。
気むずかしい店長だったけれど、気心も通じるようになってきて、よくしてくれた。
ぼくにとっても忘れられない本屋さんだった。
プロフィール

伊藤文學

Author:伊藤文學
日本初の同性愛者向け雑誌『薔薇族』を創刊した編集長。
薔薇族は廃刊となったが、販売を手掛けるラブオイルは今でも売れ行き好調。
出演作品がネットで話題となり、いつしか“ラブオイル校長”の名でも親しまれるようになった。ありがたいことです。
管理運営:FMC's©伊藤文學

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